肛門腺絞り
2025年12月08日
こんにちは、獣医師の田口です。
ワンちゃんやネコちゃんがお尻を床にこすりつけていたり、お尻周りを気にしたりしませんか?その原因としてとても多いのが「肛門腺(こうもんせん)」のトラブルです。
肛門腺は、肛門の左右にある小さな袋で、中には強いにおいのある液体が溜まっています。もともとは排便のときに自然と押し出される仕組みですが、体質や便の状態によってはうまく出ずに溜まってしまうことがあります。特に、小型犬や短頭種、軟便が多い子では溜まりやすい傾向があります。肛門腺が蓄積すると、独特な臭いや不快感の原因になり、さらに進行すると肛門嚢炎や肛門嚢破裂などに繋がる可能性もあります。
犬の場合、溜まりやすい子では1〜2か月に一度程度のケアが目安となりますが、すべての子に必ず必要というわけではなく、自然に排出されている子は無理に絞る必要はありません。いっぽう猫では、多くの子が自分でうまく排出しますので、通常はしぼる必要はありません。
病院では、外側からのしぼり方だけでなく、状態に応じて内部から圧をかけて排出する方法を行うこともあり、溜まり方が強い子に有効です。肛門腺が深い場所にある子や、粘度が高くなり固まりやすい子は、家庭ではどうしても難しくなりますので、無理をせず病院にお任せいただくのがおすすめです。
当院では肛門腺しぼりのみの来院も歓迎していますので、気になる症状があれば是非お気軽にご相談ください。