腎臓病
2025年10月09日
こんにちは、獣医師のサクマです。
今日は「猫の慢性腎臓病(CKD)」についてお話ししようと思います。
猫のCKDは決して珍しい病気ではなく、15歳以上の猫の約80%が罹患しているともいわれています。つまり、健康な猫の方がむしろ少ないほど、高齢猫にとって身近な病気です。
CKDは慢性かつ進行性の疾患であり、完全に治すことは難しい病気です。しかし、早期発見と適切な管理によって進行を遅らせることは可能です。長く穏やかに暮らしていくためには、病気と上手に付き合っていくことが大切です。
初期には、多飲多尿(水をたくさん飲み、尿量が増え、尿の色が薄くなる)といった尿に関連した変化が見られます。
進行すると、食欲不振・体重減少・嘔吐・けいれん発作など、全身的な症状が現れるようになります。
診察時には、触診で確認できる腎臓の異常や体重減少、脱水、粘膜の蒼白などが見られることがあります。さらに、網膜出血や剥離などの高血圧を示唆する症状を認める場合もあります。
治療の目的は、腎臓への負担を減らし、老廃物を体外に排出しやすくすることです。
点滴(静脈点滴や皮下点滴)や十分な水分摂取により脱水を防ぎ、体内の水分量を保つことで尿量を確保し、老廃物の排泄を促します。
CKDの治療は、以下のような複数の方法を組み合わせて行うことが一般的です。
・食餌療法(腎臓サポート食)
・リン吸着剤の投与
・点滴療法
・貧血の治療
猫ちゃんの状態に合わせて、最も負担の少ない治療を選択していくことが大切です。
“最近、水をよく飲むようになった“、“トイレの回数が増えた“、“体が少し痩せてきた“
このような変化に気づいたときは、できるだけ早めにご相談ください。