歯科
歯科の診療範囲
動物も人と同様に歯垢や歯石が蓄積します。しかし、人と異なり毎日歯磨きをすることは困難です。したがって、人よりも何十倍も歯科疾患が多いのです。
近年、高齢動物の増加に伴い、歯肉炎、歯周炎そして歯周病が多くなってきています。これらは口臭の原因になるだけでなく、心臓疾患などの全身疾患にもつながることが示唆されています。早期発見早期治療は大切ですが、一番大事なことは予防です。
ミズノ動物クリニックでは、定期的な歯石除去(スケーリング)をお勧めしています。
スケーリングは、超音波スケーラーにより歯石を除去します。歯石除去後は表面がざらついているため、研磨剤で歯表面を研磨(ポリッシング)することにより、滑らかにし歯石付着を予防します。
また当院では、歯冠治療、抜歯、レーザー治療、光線照射療法、サプリメントなどの治療も行っています。
よく診る歯科疾患
破折
硬すぎる物の咀嚼は歯のエナメル質がすり減る(咬耗)原因となります。咬耗によって歯が折れたり割れたりすることを破折といいます。上顎第四前臼歯に多く、歯髄が露出してしまうため根尖膿瘍の原因にもなります。
根尖膿瘍
歯周病の悪化や破折により歯根の先端で感染が起こると、化膿性炎症を生じます。周囲の歯周組織は壊死し膿が溜まるため根尖膿瘍となります。悪化すると歯槽骨の骨融解をおこす可能性があります。
歯瘻
歯肉炎、歯周炎が歯槽骨まで波及すると骨融解が起こります。進行すると皮膚との間で瘻管が形成され穴が開きます。瘻管が眼下や鼻、頬部に開口する外歯瘻と口腔内に開口する内歯瘻があります。また、開口部からは排膿や出血がおこります。
乳歯遺残
犬は5~7ヶ月齢で乳歯が抜け、永久歯に生え変わります。ところが乳歯が抜けずに残ってしまう場合があります。乳歯遺残では歯石が溜まりやすく歯周病や不正咬合の原因になります。乳歯遺残の場合、自然と抜け落ちる可能性は低く抜歯が適応となります。
口腔内腫瘍
エプーリス
良性腫瘍に分類されますが線維性、骨性、棘細胞性があり、棘細胞性は局所浸潤が強く骨破壊が起こる危険があります。歯茎に腫瘤が形成され、顎骨を含めた切除が必要となることがあります。
悪性黒色腫(メラノーマ)
悪性口腔内腫瘍の中では最も発生頻度が高い腫瘍です。組織浸潤性が高く、早期転移する可能性があります。メラニン細胞から発症する腫瘍で黒色の腫瘤を形成しますが、時には非色素性黒色腫が発生することもあります。
扁平上皮癌
口腔粘膜にびらんや潰瘍ができ、ただれたようになります。浸潤性はあるものの転移は後期にみられます。
繊維肉腫
エプーリスと見た目は似ていますが、急速に大きくなります。浸潤性は高いのですが、拡散しにくい腫瘍です。
実際の治療例
抜歯(歯周病)
重度歯周病
抜歯後、縫合します
抜歯(歯肉炎)
歯肉炎
抜歯後、縫合します
歯石除去
重度の歯石
歯石除去後
乳歯抜歯(乳歯遺残)
上顎犬歯の乳歯遺残
乳歯抜歯後、縫合します