耳鼻科
耳鼻科の診療範囲
日常よく見られる感覚器疾患に耳鼻科疾患があります。外耳道疾患は犬種によっては、耳道の狭窄や耳毛の多さ、脂漏といった要因により、悪化しがちです。過剰な耳垢があるとさらに症状は悪化していきます。
当院では硬性内視鏡を導入しており、通常の耳鏡では確認できなかった鼓膜全域あるいはその周囲の検査、処置が可能になりました。耳道内腫瘍の生検、耳垢の完全な洗浄などができます。
鼻腔内の腫瘍においては、軟性内視鏡による口腔内からの生検、硬性内視鏡による鼻腔からの生検が可能になりました。処置中の様子は術後に飼い主の皆様にも確認いただけます。
よく診る耳鼻科疾患
外耳炎
外耳道に耳垢が溜まり、炎症を起こし皮膚が赤く腫れます。慢性化すると皮膚が肥厚し外耳道を塞いでしまいます。細菌感染、真菌感染、脂漏体質などが主な原因で慢性化しやすく、再発もしやすいのが特徴です。定期的な耳道洗浄と外用薬や内服薬による炎症のコントロールが必要になります。
中耳炎
外耳炎の波及、耳管からの感染の波及、腫瘍により外耳のさらに奥にある中耳で炎症が起こります。中耳の周囲の神経にも影響が及ぶと、斜頸、難聴、一部の顔面麻痺がおこることがあります。中耳炎では鼓膜が穿孔している場合があり、薬液による治療が困難な場合があります。
内耳炎
耳の最も奥にある内耳は平衡感覚を司る三半規管と聴覚を司る蝸牛管があります。三半規管が障害されると起立および歩行困難、眼振が生じます。また蝸牛管が侵されると難聴になります。
耳血腫
耳介に分泌液や血液が貯留し耳が膨らんだ状態になります。膨らんだ部分は熱感やかゆみを伴います。放置すると耳介軟骨が変形し耳の形が変わってしまうことがあります。
原因として、外傷や免疫介在性疾患などによって耳に痛みやかゆみが生じ、耳を掻いたりすることで発症します。治療は貯留液の抜去、消炎剤の投与、基礎疾患のとなる外耳炎等の治療も同時に必要となります。
耳疥癬
ミミヒゼンダニと呼ばれるダニの仲間が耳の中に寄生することで起こります。ミミヒゼンダニは耳垢や血液を栄養源とし生活しています。ダニの増殖に伴い、耳の中がダニの排泄物や耳垢で黒ずんできます。また吸血時の傷や免疫応答がかゆみの原因にもなります。
内視鏡による観察と洗浄処置
硬性内視鏡
洗浄処置前
洗浄処置後