がん腫瘍科
がん腫瘍科の診療範囲
動物を飼育する環境が近年大きく変わり、動物の平均年齢も徐々に伸びてきております。それに伴い、腫瘍疾患の発症率も増加し、ワンちゃんでは7歳で10頭に1頭、10歳で6頭に1頭の割合で腫瘍が見つかるという統計も出ております。猫ちゃんも同様に、腫瘍疾患の発症率が増加してきています。近年では医療も進み、完治するがんの種類もあります。血液検査、レントゲン検査、超音波検査、内視鏡検査、細胞診検査、病理組織学的検査、場合によってはCTやMRI撮影などの検査を行い診断していきます。
当院では、様々ながんに対して治療の3本柱である外科治療、内科治療、抗がん剤治療の他にもがん免疫細胞療法、オゾン療法なども行っております。
診断がついた腫瘍に対する様々な治療法から、ワンちゃんネコちゃんにとって一番良い治療方法を飼い主様と一緒に考え選び、治療にあたっています。
各種検査について
細胞診検査
通常体の表面にある腫瘍で、一番始めに気が付くのは「しこり」です。
まずこの「しこり」に対しての検査として、細胞診を行います。
細胞診検査とは、細い針を用いて「しこり」の一部の細胞を採取します。
その細胞を顕微鏡でみて、腫瘍なのか腫瘍でないのか、腫瘍であった場合、何の種類の腫瘍なのか(良性に近いのか?悪性に近いのか?)を予測します。
予測をたて、飼い主様と相談しながら、その後の治療を考えていきます。
病理組織検査
細胞診は細胞の形態に特徴がある腫瘍では有用な検査ですが乳腺腫瘍や肛門周囲の腫瘍など腫瘍の種類によって良性と悪性の診断が難しい場合があります。この場合に有用な検査が病理組織検査です。針の検査とは異なり腫瘍の全体、もしくは一部の組織を採取して専門の病理診断医に診てもらいます。針の検査よりも得られる情報が多く、確実性も高い検査です。
抗がん剤
腫瘍の種類によっては抗がん剤が有効な腫瘍も多く、抗がん剤を使用する事で腫瘍の悪化を防いだり、再発を食い止めることが出来ます。抗がん剤と聞くとかなり副作用の強い治療法のイメージがありますが、人間と違い、動物では副作用が強く出る量で使用することはまれです。ただ、治療を行う場合は身体検査、血液検査の結果や投与後の状態を見ながら行う必要があります。
悪性腫瘍の種類と実際の治療例
リンパ腫
犬、猫ともに発生率が高く、抗がん剤による治療が効きやすい腫瘍の一つです。多中心型、消化器型、皮膚型、節外型など多くの型が存在し、増殖する細胞によりT細胞性、B細胞性という細かい分類を行うことで治療への反応のしやすさや進行度を評価できます。
肥満細胞腫
犬で最も多い腫瘍です。手術による切除が基本と言われていますが、切除が困難な場合や手術を望まれない最近はイマチニブ、トセラニブといった分子標的薬による治療や抗がん剤、ステロイドによる治療も行われています。
その他代表的な腫瘍扁平上皮癌、血管肉腫、悪性黒色腫(メラノーマ)、線維肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、未分化肉腫、腺癌、移行上皮癌など。
近年、これらの腫瘍にもトセラニブによる腫瘍の拡大を防ぐ効果が認められています。
脾臓血管肉腫
1.開腹時の脾臓
2.摘出後の脾臓(血管肉腫)
脂肪腫
1.胸の皮下にできた直径2cmの腫瘤
2.皮膚を切開
3.腫瘤を切除した後
4.切除後、皮膚縫合をして
手術終了です
肛門嚢腺癌
がん腫瘍科の専科外来
当院の獣医師による診察以外にも、日本獣医がん学会腫瘍科認定医による診察も月に2回行っています。必要に応じて受診をご案内させていただいています。
セカンドオピニオンも受け付けております。
診療日時
月2回。日曜午後。
具体的な日程はトップページの「新着情報」に掲載しています。
ご連絡先
完全予約制です。当院にお電話にてご予約ください。
0476-46-9991
担当医のご紹介
井上 明 先生(獣医師)
認定資格:日本獣医がん学会認定医I種
よくあるご質問
Q
なぜ専門の先生が診る必要があるのでしょうか?ミズノ動物クリニックの獣医さんが診察するのと
何が違うのでしょうか?
A
当院の獣医師は、ホームドクターとして動物医療の最前線に立ち、飼い主の方から細かくお話を聞き、実際の症状・検査結果等を結びつけ、腫瘍について総合的に診断・治療にあたります。しかし、近年では人間と同じように様々な診断法や治療法もあり、より専門知識に富んでいる腫瘍科認定医に診察してもらう事も必要な選択肢と考えます。
Q
腫瘍科認定医とは何ですか?
A
腫瘍科認定医とは、日本獣医がん学会が認定する資格を有する者で、腫瘍診療の専門知識および一般臨床知識をもち、且つ実践的に診断・治療を行う能力がある獣医師です。
Q
診療料金はいくらですか?
A
特別診察料として5,000円になります。検査費、手術費などは別途かかります。
Q
他の動物病院にかかっているのですが、診てもらう事は可能ですか?
A
随時、セカンドオピニオンも受け付けています。来院の際は、血液検査や病理検査などの検査結果をお持ちください。
腫瘍外科や軟部外科などの手術の依頼も受け付けています。