循環器学会
2025年06月29日
こんにちは、獣医師のあさぬまです。
予防開始のシーズンも佳境になってきました。
皆さん、マダニの予防は始めていますか?
最近、マダニ感染症での死亡例のニュースも多く、他人事でなくなってきました💦
予防できる病気はしっかり予防していきましょう!
さて、土曜、日曜で循環器学会に参加してきました。
最近、外科をテーマとする発表が多かったのですが、今回は、内科をテーマにした発表もあり、聞いていて学び多い学会でした。
今回の学会でも、座長と発表をさせていただきました!
座長では、心不全を早期に検出する取り組みに関する発表と、新規の外科手術法に関する発表がありましたが、
いずれも活発な議論になり、良かったです。
発表では、『部分肺静脈灌流異常症』という稀な病気の新しい診断法に関して発表させていただきました。
部分肺静脈灌流異常症…聞きなれない病気ですよね?
おそらく、獣医師でも、循環器に詳しくないと聞いたこともないような病気だと思います。
人での有病率は0.4~0.7%程度で稀な病気です。
動物での発生率に関しては報告がないですが、人よりは多いかもしれません。
ただ、いずれにしても非常にめずらしい病気であることは間違いないです。
症状が全くない場合もあれば、心不全になってしまうケースもあり、重症度に幅がある病気です。
症状が全くない場合は、健康診断をしないと気づけないのは恐ろしいですね…。
少し難しいかもしれないですが、今回はせっかくなので、部分肺静脈灌流異常症についてすこしだけ紹介します。
そもそも肺静脈とは、肺からの血液が心臓に返ってくるときに通る血管です。
普通は左心房につながっています。
左心房に戻った血液は、そのまま左心室に入り、大動脈から全身に向かいます。
肺で十分に酸素をもらった血液が、全身に運ばれることで、全身に酸素がたっぷり含まれた血液が届けられます。
しかし、この肺静脈が左心房ではなく、右心房などに異常につながってしまう病気が
『部分肺静脈灌流異常症』です。
全ての血管が右心房などにつながってしまうこともあり、そうなると『総肺静脈灌流異常症』と呼ばれます。
犬では肺静脈は4~6本存在するとされているので、
このうち何本が異常につながってしまうか?で、症状の重症度が決まります。
診断は難しく、CT検査やMRI検査が必要なことが多いですが、
今回心エコー検査で検出できる方法を学会で発表しました。
CTやMRI検査は麻酔も必要な高額検査ですが、心エコー検査は何回でも実施できる
動物に優しい検査方法です。
エコー検査で異常な血流をとらえられれば、麻酔や金銭的な負担を少なく、診断することができるようになるので、
今後も症例の蓄積を行い、獣医療の発展に尽力したいと思います!!
この病気と診断されることは少ないと思いますが、
その他に心臓の診断や治療にお困りのことがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせください✨