外科セミナー
2025年11月05日
こんにちは、獣医師のあさぬまです。
いよいよ寒くなってきて、気づけば、2025年も終わりが見えてきてますね…。
風邪も流行っているようなので、皆さんお身体に気を付けてください!
先日、院内で行われた外科のセミナーに参加しました✨
今回のテーマは『胆嚢』でした。
胆嚢は、肝臓のすぐそばにある、消化酵素が入っている臓器です。
一昔前に比べると、胆嚢を病気を診断することは増加していて、
主な病気は、胆嚢粘液嚢腫、胆嚢炎、胆石症などです。
多くが内科治療や食事療法が適応になりますが、中には手術が必要になることもあります。
その中でも手術が必要になる可能性が高い病気は、『胆嚢粘液嚢腫』です。
胆嚢は、胆汁という消化酵素がはいっていますが、
胆嚢の壁の細胞が粘液を大量に分泌することで、普段は流動性のある胆汁が、ゼリー状に硬くなることが知られています。
ただし、なぜ硬くなるのか?という根本の原因はいまだに不明な病気です。
胆汁が高くなることで、胆汁がうまく排泄されず、胆嚢に詰まってしまうことがあります。
これが『胆嚢粘液嚢腫』です。
また、徐々に硬くなった胆嚢は、壁が脆くなり、最終的には、胆嚢自体の圧力に負けて、裂けてしまうこともあります💦
『胆嚢破裂』した場合は、破裂していない胆嚢疾患に比べて、3倍以上死亡率が高くなることが知られていて、非常に危険な状態です。
しかし、すぐにでも手術しないと、状況はどんどん悪化してしまうため、
非常に高いリスクの中で手術する必要があります。
破裂していない胆嚢粘液嚢腫でも、手術を必要とすることはあります。
しかし、多くの場合、まずは内科治療で安定化できることが多いとされているので、
現在は、まずは内科治療で安定化を行い、一度体調が改善した後に、手術を実施することが多いです。
血液検査の異常や、体調不良があるときと、ないときの手術では、
ないときの手術の方が圧倒的に手術リスクが低いため、入院を含めた、しっかりとした、内科治療を行います。
それでも、肝臓や胆嚢の手術は他の手術に比べ、
術後の合併症が多い手術の一つです。
中には、症状が出る前に『予防的に』胆嚢摘出術を行う病院もありますが、
当院では、その合併症の高さから、手術の適応を非常に慎重に見極めるようにしています。
(ただし、どちらがいいのかは、いまだ議論があり決着がついていません。)
手術の際には、胆嚢を肝臓からはがして摘出するのですが、
近年は、肝臓からの出血をなるべく抑える手術方法も開発されており、
当院でも経験豊富な獣医師を中心に、同様の方法で手術を行うことが多いです。
今回のセミナーは、実習形式ではなく、座学だったので、詳しい手術手技を学ぶことはなかったですが、
理論をしっかり理解することは、どの分野でも、動物に負担が少なく、安心、安全な手術を行うのに、とても大事です!!
今回のセミナーで学んだことを活かし、より丁寧な肝臓、胆嚢手術ができるように
スタッフ一同気を付けていきたいと思います。
もし、胆嚢や肝臓の病気でお困りのことがあれば、スタッフに遠慮なくお声掛けください✨