こんにちは、獣医師のあさぬまです。
先日、大阪で行われた「外科スキルアップラボ」に参加してきました!
今回は、2日間で、基本的な腹部軟部外科をマスターしよう!という試みの元、
肝臓、胆嚢、消化管(胃、十二指腸、空腸、大腸)、副腎と幅広い内容の手術を基本的なものから、発展的なものまで網羅的に学んできました✨
消化管の手術に関しては比較的実施することも多く、慣れた手技が多い一方で、
副腎の手術は手術例も多くなく、また手術リスクも高いものであるため、
こういったラボでの学習が、手術手技のスキルアップには欠かせないものなので、参加できてよかったです!
今回はその中でも、肝臓、胆嚢に関して少しお話します。
肝臓は、体の中で最も大きい腺構造といわれ、非常に多くの機能を有しています。
再生能力も高く、70%以上を切除しても生活には支障ない。とされています。
しかし、その分、多くの血管が肝臓には張り巡らされており、少しの手術手技の誤りであっという間に大出血を起こしてしまう。
そんな怖い臓器です。
また、血管にはある程度個体差があり、全く同じ構造ではありません。
そのため、当院ではCT検査を事前に行い、血管の状態や走行を事前に把握して手術に臨む。ということを行っています。
肝臓には多くの腫瘍が発生しますが、その中でも最も多いものが、肝細胞癌(いわゆる肝臓がん)です。
人と異なり、犬の肝細胞癌は比較的完治が望める腫瘍とされており、
多くが巨大な一つの腫瘤を形成する腫瘍です。
その腫瘍を摘出することができれば、再発率、転移率ともに高いものではないので、完治が見込める。というわけです。
犬の場合、肝臓は6つの葉に分かれていますが、それぞれを、左肝区域、中央肝区域、右肝区域に分けて手術で取り扱うことが多いです。
左肝区域が一般的には最も簡単とされていますが、
解剖学的構造をきちんと理解すれば、中央、右の肝区域でも安全に手術が可能です。
今回のラボでは、そういった肝臓の血管構造をしっかり理解することに努めました。
また、肝臓には胆嚢という消化酵素を貯めておく構造があります。
胆嚢からは胆管といわれる管が十二指腸まで伸びており、そこから胆汁を分泌しています。
しかし、この胆管が何かの原因で閉塞してしまうことがあります。
原因は様々ですが、なかでも腫瘍や胆石で閉塞してしまうと、内科治療での改善が困難となり、治療が難しいです。
そんな時は外科的に改善してあげる必要がありますが、その状態の動物は体調が非常に悪いことが多く、
麻酔をかけた治療も困難なことがあります。
そのため、以下に的確に素早く手術が行えるのか?が大切です。
今回のラボでは、そういった胆管に対する手術も学ぶことができました。
肝臓の数値が高い。黄疸がある。といった肝臓関連の症状は、
診断も治療も難しいものが多く、また、体調も急激に悪化していくケースがあるため、
もしお困りの際は、お早めにご相談ください!!