セミナー参加報告

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インプルーブ外科セミナー

2024年08月11日

こんにちは、獣医師のあさぬまです。

ムシムシした日が続きますね…。

突然の雷雨や地震など不安定な日が多いですが、災害に備えて過ごしましょう。

 

先日、大阪で行われた外科のセミナーに参加してきました。

今回は、3日間に渡り気道外科および、胸部外科のことを学んできました。

今回は、

①喉頭麻痺に対するタイバック手術(片側披裂軟骨側方化術)

②動脈管開存症(PDA)に対する結紮術

③心膜切除術

などを学んできました。

 

気道の異常を生じる疾患は、呼吸困難などを起こしていることが多いため、

緊急的な対応や、治療が必要です。

そのため各疾患のことをよく理解しておく必要があります。

①喉頭麻痺:

のどには喉頭(こうとう)といわれる空気の出し入れを行う場所があります。

普段は神経の働きで調節されて開閉していますが、高齢になると神経の働きが弱くなることで、うまく空気を吸い込むことができなくなります。

神経の働きをもとに戻すことは難しいので、喉頭を開いたまま固定することで、呼吸をしやすくします。

披裂軟骨という軟骨を側方に移動させる術式なので、片側披裂軟骨側方化術という名前がついています。

のどの周囲には重要な臓器がたくさんあり、大きく傷を開くこともできないので、触診で構造を把握しながら手術を進めます。

 

②動脈管開存症(PDA)

動脈管とは、胎児期に大動脈と肺動脈をつなぐ血管です。

胎児の間は肺に空気を送る必要はないので、肺に送る予定のすべての血液を大動脈へ流します。

生まれた後では肺に血液を送るために、動脈管は締まり、それぞれの血流が独立します。

しかし、その血流が独立しないで動脈管が残ってしまう病気が動脈管開存症(PDA)です。

先天性の心臓病なので、聴診や心エコー検査で診断します。

様々なタイプがありますが、開胸術で血管を縛ることで治療します。

非常に大きな血管のそばで手術を行いますし、一歩間違えれば大出血につながり、命にかかわります。

丁寧で繊細な手術が必要になります。

 

③心膜切除術

心臓の周りには硬く丈夫な膜である心膜があります。

心膜は心臓を感染や周囲の臓器から保護してくれる機能を持つ反面、その心膜の内側に血液や膿がたまってしまうと、心臓の動きを著しく制限してしまいます。

また、珍しいですが、心膜自体が炎症や癌で硬くなってしまう病気もあります。

そういった病気では、心膜を切除し、心臓の動きを開放してあげる必要があります。

それが心膜切除術です。

手術自体は、心膜を切り取る。という非常にシンプルなものですが、肺や心臓、神経といった大事な臓器のすぐそばで、広範囲に心膜を切除する必要があり、

非常に気をつかう手術です。

これら3つの手術は内容は様々ですが、手術により劇的に症状や寿命を改善する効果が期待できるものです。

いずれも決して頻繁に遭遇する病気ではないですが、

いざ遭遇した時にはきちんと手術ができるように日々精進する必要があります。

今回のセミナーでは、これらの疾患以外にも多くの胸部および気道の手術を学びました。

苦しく困っている動物の助けになるように、しっかり知識と技術を復習したいと思います。

 

もしお困りのことがあれば、遠慮なくお問い合わせください。