循環器セミナー
2024年09月14日
こんにちは、獣医師のあさぬまです。
先日、院内で行われた循環器セミナーに参加しました!
循環器とは、主に心臓病のことです。
循環器セミナーでは、心臓病のことや、心臓病で使用される薬剤について学ぶセミナーです。
今回のセミナーのテーマは「利尿剤」でした。
利尿剤とは、主に腎臓に作用し、尿をよりたくさん出す薬です。
心臓病では多くの場合で、うっ血が起こります。
うっ血とは、過剰に血液がたまってしまうことです。
うっ血は起こる場所により症状が変わります。
全身に起これば浮腫(むくみ)です。胸に起これば、胸水や肺水腫です。
胸水や肺水腫を発症することで呼吸が苦しくなります。
そこでむくみを改善させるために利尿剤をつかって、過剰な血液を尿として排出させるようにします。
ただし、利尿剤を過剰に使用すると、脱水を起こしやすくなりますし、腎臓の負担になります。
利尿剤は作用する場所により、いくつかに分類されます。
①ループ利尿薬
最も一般的に使用される薬剤です。
利尿効果が強い上に、経口投与でしっかりと吸収されるため、日常的によく使用される薬剤です。
比較的腎臓に優しい薬剤ですが、強い利尿効果により、腎臓に影響を与えることもあります。
そのため必ず定期的に腎臓の数値を測定する必要があります。
②サイアザイド系利尿薬
近年使用機会が減っている薬剤です。
利尿効果は中程度ですが、腎臓に負担をかけやすい薬剤です。
使用する場合は、ごく少量から使用し、頻繁に腎臓のチェックが必要です。
③抗アルドステロン薬
近年注目が集まっている薬剤です。
利尿効果は弱いですが、心臓を保護したり、血圧を下げることで、心臓の負担を減らすことができる薬剤です。
少し大きめの薬剤なので、やや飲みにくいですが、投与により生存期間の延長が期待できます。
④バソプレシン受容体拮抗薬
人の方で近年使用頻度が増加している薬剤です。
強い利尿効果があります。新しい薬剤なので、腎臓に負担がかかりにくく、今までの薬剤で利尿効果が弱い場合でも効果を発揮できる可能性があります。
ただし非常に高価です。
⑤SGLT2阻害薬
最先端の薬剤です。
本来は糖尿病の薬です。動物用の医薬品が最近発売されています。
中程度~強力な利尿効果が認められるとされていますが、動物での報告がまだ少なく、効果ははっきりしない薬剤です。
理論上腎臓に負担がかからないので、従来の治療で効果が得られない場合に効果的である可能性があります。
このように多くの薬剤がありますが、多くの薬剤があればこそ、使用法も千差万別です。
薬剤の特徴を理解し、適切に検診を重ねることがより良い治療につながります✨
毎回検査するのにもきちんと理由があります!
今後もきちんと検診を重ねていきたいと思います!!