セミナー参加報告

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口腔外科セミナー

2025年06月13日

こんにちは、獣医師のサクマです!
先日、院内で口腔外科のセミナーを受講しました。今回のテーマは講師の先生の病院での回顧的研究の紹介でした。

① 下顎骨骨折の傾向と治療法

下顎骨骨折の原因は大きく2つに分けられ、
•約70%が歯周病性
•約20%が外傷性
とのことです。

治療法としては:
•レジン固定(プラスチック樹脂を用いた方法)
•口輪の使用+歯周病治療
•顎骨切除

外傷性骨折の場合は上記の治療で良好に骨癒合するケースがほとんどですが、歯周病性の場合は慢性化しており、骨吸収が進んでいることが多く、線維性癒合や癒合不全に至ることも珍しくありません。

また、骨折線の75%が吻背-尾腹方向という特徴があり、これは癒合しにくい傾向があるとされています。

講師の先生の病院では、
•犬種ではトイプードルが多
•発症年齢の中央値は9歳8ヶ月
•66%が第一後臼歯部での骨折

この部位が多い理由としては、
•歯根が深い
•隣接する歯との重なり
•下顎骨のねじれ構造
が挙げられていました。

② 歯原性嚢胞について

次に取り上げられたのが歯原性嚢胞(特に含歯性嚢胞)についてです。
•70%が含歯性嚢胞で、未萌出歯に関連して発生
•海外では短頭種(特にチワワ)に多く、90%が下顎という報告もあります
しかし講師の先生の病院では
•上顎と下顎の発生率はほぼ半々
•やはりチワワでの発生が顕著

部位別では、
•下顎の第一前臼歯で約30%
•上顎犬歯で約18%
•チワワでは上顎犬歯での発生が37%と突出していました。

また、未萌出歯の約40%で嚢胞が形成されるとのデータもあり、避妊・去勢手術のタイミングで歯科用レントゲンを撮影することを推奨されていました。

今回のセミナーは、実際の臨床現場から得られたデータに基づいた内容で、非常に実践的で学びの多い時間でした。特に、歯周病と骨折の関係性、未萌出歯に対する予防的視点は、今後の診療にもすぐに活かせるポイントだと感じました。