セミナー参加報告

seminar

エキゾセミナー🐹

2025年06月24日

こんにちは、獣医師のあさぬまです。

梅雨に入りましたが、雨も少なく、暑い日が続きますね☀

まだ6月なのに、35度を超える日もあるので、皆さん体調にはお気を付けください。

 

先日、院内で開催されたエキゾチックアニマルセミナーに参加してきました。

今回のテーマは『ハムスターの皮膚疾患』です。

皮膚科の分野では、皮膚は内臓を映す鏡ともいわれ、皮膚には体のいろいろな異常が反映されるとされています。

そのため、犬や猫の皮膚科分野では、単純な絵合わせではなく、

皮膚トラブルの場所や、色、経過などから、どんな疾患群(病気のグループ)かを考え、

そこからさまざまな検査で、病気を絞り込む。ということをします。

 

しかし、エキゾチックアニマルの多くが、かなり小型で、検査が容易でないことが多いので、

エキゾチックアニマルの皮膚科診療は見た目が重要視されます!

しかし、小型の動物であるがゆえに、犬や猫よりは、病気の見た目が特徴的で、見ただけで診断に結び付くものが多いです。

また、詳しい検査にはすべて麻酔が必要になってしまうことが多い。という背景もあり、

まずは見た目で治療を行い、その治療効果を見て診断を確定させていく。という方法が一般的です。

そこで今回のセミナーでは、見た目や症状に特徴があるいくつかの皮膚疾患を学びました。

その代表的なものをご紹介したいと思います!

 

①ブドウ球菌感染症

ブドウ球菌とは皮膚の表面に存在する細菌です🍇。

人ではとびひ、犬で発症すると膿皮症といわれ、犬ではフケを伴う赤い湿疹であることが多く、かゆみを伴います。

ハムスターの場合は、顔面での発症が多く、特に鼻や目の周りに症状が出ます。

症状は痒み、脱毛で、時々少し腫れることもあります。

ハムスターは顔を洗う仕草をよくするので、両方の手の先にも同様の症状が出ることがあります。

両目、鼻の脱毛と腫れがあるとピエロのような顔になってしまうこともありますし、

手が晴れるとボクシンググローブ🥊を付けたように見えることが特徴です。

治療は抗菌薬で行います。

 

②皮膚乳頭腫症

皮膚乳頭腫という腫瘍がありますが、それとはまったく別の病気です。

これは代謝的な問題(高齢、食生活、肥満など)が背景にあることが多い疾患です。

脇のしたなど皺の多い場所に発生することが多い疾患で、慢性的な皮膚の変化であることが多いです。

深くなった皺が痛痒く、なめたり噛んでしまうこともあります。

この病気の厄介なところは治らない。というところです。

皮膚の栄養失調や、加齢に伴う変化が強いことが多く、ある程度は改善できても、完治に導ける可能性は低い疾患です。

栄養価の高いもの(カロリーが高いのではなく、栄養バランスに優れているもの)を積極的にあげつつ

見守っていく必要がある疾患です。

 

③ニキビダニ症

ニキビダニという皮膚に常在するダニによって生じる病気です。

ハムスターには2種類のニキビダニが知られていますが、哺乳類にはそれぞれニキビダニが存在し、実は各動物で異なるニキビダニが発生します。

犬と猫と、人のニキビダニはそれぞれ別々で、異種間で移ることはありません!

ニキビダニは常在しているので完全に消失させることは不可能とされています。

なので、ニキビダニ症は、通常でもいるはずのニキビダニが、何かの原因で著しく増加してしまうことで発生します。

何らかの原因の多くは、動物の免疫力です。

免疫力が低下することで増加するため、加齢、免疫を低下させる疾患(腫瘍、副腎皮質機能亢進症、(犬では)糖尿病など)などが背景にあることが多いです。

そのため、診断された場合は、ただダニを退治すればいいわけではなく、

免疫力を低下させた原因を検査で特定し、治療することが大切です。

治療は背中につけるスポット剤か、内服薬で治療します。通常は複数回の投与が必要です。

 

皮膚は小動物でも見た目で異常に気付かれやすいので、比較的早期に発見される異常の一つです。

しかし、多くの場合、食欲などに影響はないことが多く、病院に来るときに重症化していることが多い疾患です。

早期発見できれば治癒に導くことができるかもしれないので、気になるときはお気軽にお声掛けください✨