こんにちは、獣医師のあさぬまです。
9月に入りましたが、まだまだ暑い日が続きますね。
台風も多いので、みなさん引き続き、天気の急変と熱中症にお気をつけください!
さて、先日院内で行われた皮膚科セミナーに参加しました。
今回のテーマは『脂漏(しろう)』です。
脂漏といえばまさに今の季節に大変問題になる病態です💦
皮膚科の病気には先天的な要因、つまり体質で発生する病気がありますが、
犬の代表的な体質は、①ふけ、②あぶら、③汗っかき、④しわがあります。
そのうち、脂漏にかかわるものは、①ふけ、②あぶらです。
つまり、『かさかさ』と『べたべた』です。
つまり、フケが多い…。というお悩みも、べたべたする…。というお悩みも実は同じ病気!ということです。
脂漏とは、皮膚の新陳代謝が『早い』病気です。本来、犬の皮膚の新陳代謝は3週間程度とされています。
しかし、脂漏の子では、わずか8日で新陳代謝が終わってしまい、そのせいで、過剰に皮膚の上に角質などの老廃物がたまってしまいます。
代表的な脂漏の犬種は、スパニエル(E.コッカーやA.コッカー)、ウエストハイランドホワイトテリア、バセットハウンドです。
日本でもう少し多い犬種では、ダックスフンドやラブラドールレトリーバーなども脂漏の好発犬種です。
脂漏は遺伝なので、もちろん血統によっては脂漏でない子もいます。
また、脂漏は、加齢やアトピーなどほかの病気でも悪化するとされているので、高齢になってコントロールが難しくなる可能性がある、困った病気です💦
また、脂漏で忘れてはいけない犬種がもう一つ。
それがシーズーです!
シーズーは脂漏以外にも、マラセチア(皮膚に常在する酵母様真菌)や皮膚のしわ、汗っかきなどが合併することもあり、
そのおっとりした性格と相まって、慢性化してしまうことが多いです。
また、しわが多い子では、もともと皮膚のコラーゲンの異常であるエーラスダンロス症候群を持病として持っている子も多いです。
エーラスダンロス症候群は、背中の皮膚をつかんで引っ張ってみることで簡単に診断可能です。
病気の子は、病気でない子と比べ、とても皮膚が良く伸びることが特徴です。
これらの体質は、投薬で完治できるものではなく、一生涯付き合っていくものです。
慢性化してしまうと、コントロールが難しくなり、投薬量も増えてしまいます。
小さいうちから、シャンプーや投薬などで、症状を緩和してあげることが将来につながる病気です。
中には、マイクロバブルを使ったトリミングなどで、うまく脂漏を抑えられる子もいます。
当院では、治療はもちろん、トリミングと連携して皮膚の症状の相談にのることも可能です。
何かお困りのことがあれば、スタッフに遠慮なくお申し付けくださいね!!