セミナー参加報告

seminar

皮膚科セミナー かさかさとべたべた🐶

2024年09月11日

こんにちは、獣医師のあさぬまです。

9月に入りましたが、まだまだ暑い日が続きますね。

台風も多いので、みなさん引き続き、天気の急変と熱中症にお気をつけください!

 

さて、先日院内で行われた皮膚科セミナーに参加しました。

今回のテーマは『脂漏(しろう)』です。

脂漏といえばまさに今の季節に大変問題になる病態です💦

皮膚科の病気には先天的な要因、つまり体質で発生する病気がありますが、

犬の代表的な体質は、①ふけ、②あぶら、③汗っかき、④しわがあります。

そのうち、脂漏にかかわるものは、①ふけ、②あぶらです。

つまり、『かさかさ』と『べたべた』です。

つまり、フケが多い…。というお悩みも、べたべたする…。というお悩みも実は同じ病気!ということです。

脂漏とは、皮膚の新陳代謝が『早い』病気です。本来、犬の皮膚の新陳代謝は3週間程度とされています。

しかし、脂漏の子では、わずか8日で新陳代謝が終わってしまい、そのせいで、過剰に皮膚の上に角質などの老廃物がたまってしまいます。

代表的な脂漏の犬種は、スパニエル(E.コッカーやA.コッカー)、ウエストハイランドホワイトテリア、バセットハウンドです。

日本でもう少し多い犬種では、ダックスフンドやラブラドールレトリーバーなども脂漏の好発犬種です。

脂漏は遺伝なので、もちろん血統によっては脂漏でない子もいます。

また、脂漏は、加齢やアトピーなどほかの病気でも悪化するとされているので、高齢になってコントロールが難しくなる可能性がある、困った病気です💦

また、脂漏で忘れてはいけない犬種がもう一つ。

それがシーズーです!

シーズーは脂漏以外にも、マラセチア(皮膚に常在する酵母様真菌)や皮膚のしわ、汗っかきなどが合併することもあり、

そのおっとりした性格と相まって、慢性化してしまうことが多いです。

また、しわが多い子では、もともと皮膚のコラーゲンの異常であるエーラスダンロス症候群を持病として持っている子も多いです。

エーラスダンロス症候群は、背中の皮膚をつかんで引っ張ってみることで簡単に診断可能です。

病気の子は、病気でない子と比べ、とても皮膚が良く伸びることが特徴です。

 

これらの体質は、投薬で完治できるものではなく、一生涯付き合っていくものです。

慢性化してしまうと、コントロールが難しくなり、投薬量も増えてしまいます。

小さいうちから、シャンプーや投薬などで、症状を緩和してあげることが将来につながる病気です。

 

中には、マイクロバブルを使ったトリミングなどで、うまく脂漏を抑えられる子もいます。

当院では、治療はもちろん、トリミングと連携して皮膚の症状の相談にのることも可能です。

何かお困りのことがあれば、スタッフに遠慮なくお申し付けくださいね!!