画像診断セミナー
2023年01月20日
こんにちは、獣医師のあさぬまです。
突然ですが、「私はこれが得意です!」と自信をもって言えるものがありますか?
実は私はそういった得意分野がなくて、得意がある人をとても尊敬しています✨
そこで自分の軸になるようなもの。と考え、昨年、獣医循環器学会の認定医となることができました!
また心肺蘇生医療の資格であるRECOVERの資格も取ることができました。
昨年1年、認定医として活動を行い、自分の未熟な部分を痛感しました…。
結局まだまだ「得意です!」と胸を張れるかどうかは疑問ですが、
少なくとも今までよりもたくさんの動物のためになった。という自信を持つことはできました。
そうやって勉強すればするほど、
たくさんの専門医として活躍されている優秀な先生の話を聞くことは、とても勉強になります!
今回も画像診断専門医の先生のセミナーは学びが多かったです。
今回のテーマは『画像診断のモダリティーを考える』です。
モダリティーとは?と思う方もいると思いますが、モダリティーとは画像を得る装置(方法)のことです。
当院には、画像診断の装置として、レントゲン、超音波(エコー)、CT検査があります。
つまり、どの検査方法を用いるのがベストなのか?を考えられる病気によって考えましょう。というセミナーです。
例えば…。
① 3日間下痢、嘔吐が続いている。元気がない。
② くしゃみ、鼻水が1か月とまらない。昨日から鼻血が出ている。
③ 頸に大きなしこりができている。手術ができるか?
という子たちがいたとして、どういった検査が必要でしょう?
残念ながら、多くの場合検査内容は過不足があるとされています。
検査をすることが悪いわけではないのですが、すべての検査を行えば、当然動物に負担がかかる可能性もありますし、
金額も大きくなります。場合によっては、たくさんの検査をしたせいで、一つの検査に向ける注意がおろそかになり、
病気が見逃されたりします。
①のように急な下痢、嘔吐の場合、レントゲン検査が有効なケースは限られます。
例えば、石や金属などの誤食、胃や腸の穿孔(穴が開くこと)、肺炎の合併ではレントゲン検査が有効な場合もありますが、
それ以外ではエコー検査の方が有効です。
②のような鼻の病気では、エコー検査がほとんど無意味です。
レントゲン検査やCT検査が有効です。しかし、CT検査は全身麻酔を必要とするため、簡単には行えません。
そこでレントゲン検査をはじめに実施します。そのうえで、腫瘍の疑いが高まったり、
さらなる検査が必要だと判断された場合はCT検査を実施することになります。
③では、手術方法やしこりの場所の特定のためにすべての検査が必要です。
エコー検査でしこりの場所を特定し、レントゲン検査で肺への転移を確認します。
そのうえで、頸は重要な臓器が多いため、CT検査で摘出可能かどうかを判断します。
このように検査モダリティーを適切に選択することで、負担を最小限に、検査によって得られる情報を最大限にする必要があります。
こういった考え方はまだあまり浸透しておらず、ある程度の経験や知識が必要不可欠です。
専門医の先生方からは知識だけではなく、こういった考え方なども学ぶことができ、
非常に有意義です。
一人の獣医師が救うことができる動物の数には限りがあるので、
こうやって知識が広がり、より多くの動物に届くといいと思います😊