画像診断セミナー📺
2025年11月16日
こんにちは!獣医師の伊藤です!
先日 4ヶ月ぶりに画像診断のスペシャリスト石川先生にお越しいただき、実習兼セミナーを開催していただきました!
まずはセミナー内容です。
今回は喉頭麻痺・前縦隔腫瘤について説明していただきました!
・喉頭麻痺
口頭麻痺は高齢の大型犬で見られる疾患です。空気の通り道の扉に当たる喉頭がうまく開かず、スムーズに息を吸えない状態です。
病因は反回喉頭神経または背側輪状披裂筋の傷害に起因し、吸気時における軟骨の外転障害と言われています。
息を吸う時、正常であれば喉頭が開いているはずが、喉頭麻痺になると閉じてしまってる状態です。そのため、頑張って息を吸い、ヒューと喉の方から音が聞こえてきます。
さらに吸気時に粘液を吸い込んでいるため、誤嚥性肺炎などの合併症も引き起こしてしまう可能性があります。
超音波検査では、閉じていて動いていない喉頭を観察することが重要になります。さらに喉頭は深い位置にあるため、周波数やフォーカスは下げて行うことで綺麗な画像が描出されます。
・前縦隔腫瘤
レントゲンで前縦隔に怪しい病変が見られた場合、必ず超音波検査を行います。
前縦隔病変で多いのは、リンパ腫、胸腺腫、前縦隔嚢胞などです。
まず嚢胞性の病変なのか、充実性があるのかが大事になってきます。一見嚢胞性病変に見えても、一部充実性がある場合、その病変はかなり怪しいのです。
前縦隔腫瘤において、リンパ腫と胸腺腫の区別が大事になってきます。まず、嚢胞の有無、前大静脈などの血管の巻き込みの2つを評価します。
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リンパ腫 |
胸腺腫 |
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嚢胞 |
ないことが多い |
大半は存在する |
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血管の巻き込み |
取り囲むことがある |
浸潤してく |
上記を踏まえある程度大別することが大事になるそうです。
次に実習についてです。
今回は食道造影を行いました。
造影剤はまず、ヨード系かバリウムかの2つに大別されます。
ヨード系の中にイオン性・非イオン性と別れています。イオン性にはウログラフィン、ガストログラフィン、非イオン性にはイオヘキゾールがあります。
イオン性の造影剤はアナフィラキシーなどの合併症が見られるため、最近ではあまり使用されていません。また、浸透圧が高いため、誤嚥すると重篤な肺水腫を引き起こしてしまいます。
バリウムは、体内で吸収されないため、誤嚥や腹腔内漏出が起こった場合、今後X線検査で写ってしまう事があります。また、超音波ビームを通さないため、漏れたところの超音波が困難になります。
最近はイオヘキゾール(商品名:オムニパーク)が用いられます。
食道造影は、口腔相、咽頭相、食道相に分かれます。
今回の実習は正常なわんちゃんの食道造影を、Cアームを用いて行いました。頭を支える人、お尻を支える人、造影剤をあげる人の3人で行います。まずは位置決めをします。造影剤をあげたら、その流れに沿って体を頭側方向に水平移動し、今で流れるのを確認します。
造影剤の通り道に病変がある場合、スムーズに造影剤が入らないのを確認できます。
珍しい病気である咽頭・喉頭アカラシアや下部食道アカラシアは筋肉が閉まり過ぎてしまってる状態で、造影剤を流し込もうと頑張るも押し返されてしまうのが特徴的です。
最近は異物なども超音波検査で診断し、消化管造影の機械が少ないですが、食欲あるが飲み込みづらいなどの主訴がある子は、食道造影も検査の選択肢に入れても良いのかなと思いました!