臨床病理学セミナー
2016年08月08日
こんにちは、獣医師の松井です。
先週、臨床病理学セミナーに参加してきました。近くの病院から先生が集まり、少し難しい病気の子を臨床病理学の先生にみてもらい検討し合うセミナーです。
今回、他院の先生の発表で鼻、口から出血があり食欲、元気が落ちてきたというワンちゃんがいました。
レントゲン検査で腹腔内の精巣(陰睾)が見つかった他、血液検査で赤血球、白血球、血小板の減少が認められました。出血があったことで血液凝固の検査をした結果、フィブリン(Fib)およびフィブリン分解産物(FDP)が高くなっていました。
これらの結果から、陰睾が腫瘍化したことによるエストロジェン中毒か腫瘍からの持続的な出血が疑われました。
エストロジェン中毒では骨髄抑制がかかるため、造血が上手く出来なくなり赤血球、白血球は減少します。また、FDP、Fib亢進は腫瘍病変でできた血の塊が溶けて上がっている可能性が疑われました。
いずれにしても、腫瘍化した睾丸は取り出した方が良く、今後は輸血によって貧血をコントロールし、抗生剤で敗血症を抑えた状態で陰睾の手術が方針のひとつです。しかし術後、確実に骨髄が正常に働くとは限りません。
今回、感じたのは予防手術の大切さでした。お家で陰睾であることに気づかなかった場合、去勢手術を予定してなければ時間が経ち腫瘍化してしまう可能性があるからです。まだ去勢してない成犬のワンちゃんがいるお家は一度、チェックしてみてはどうでしょうか?
少し前になりますが、バイクで房総半島を回ってきました。鋸山に登り、竹岡ラーメンを食べて帰ってきました!