獣医循環器セミナー in 福岡
2018年03月30日
こんにちは、獣医師のあさぬまです。
だいぶ春らしくなってきました。
桜もきれいですし
温かくなってきて、過ごしやすい季節ですね。
北海道にいたころは、春がとても短くて、寂しかったのを覚えていますが、
千葉ではもう少し、この気候が続いてくれるといいなぁと思っています。
3月はセミナーなどで大忙しで、ご迷惑をおかけしました。
先日、福岡で開催された獣医循環器セミナーに参加してきました。
今回で4回目の循環器セミナーですが、
循環器医薬品メーカーが主催してくださっているセミナーで、
毎回、まだ論文化されていないような最新の情報を交換することのできるとても良い機会になっています。
光栄なことに第2回から3回連続でご招待をいただいて参加させていただいているのですが、
名古屋→札幌→福岡と来ていて、
次回は神戸あたりの開催予定とのことでした。
日本の著名な循環器医の方々ばかりの少人数制セミナーなので毎度とても緊張しますが、
今回は、そこで議題に上がったお話を少しさせていただきます。
今から2年ほど前に
EPIC studyと言われる獣医の心臓病界を揺るがす大きな論文が公開されました。
それまで、心臓病(弁膜症)は症状が出てから積極的に治療する。
というのが、主な治療方法で、
症状が出る前から治療した場合の明らかな延命効果が示されていませんでした。
しかし、ピモベンダンという薬をより早期に投薬することで、
心不全の発症を15か月または、60%も延長することができる。
という報告が発表されました。それこそがEPIC studyです!
犬を300頭以上調べた獣医の中ではとても大きな世界的な研究であったために、
心臓病の治療は転換期を迎えたといっても過言ではありませんでした。
今回のセミナーではその続編にあたる
EPICⅡという報告の発表でした。
簡単にお話すると、ではピモベンダンの何がそこまで心臓にとってプラスにはたらくのか?
というはなしです。
そして、その結果も簡単にお話すると、
「心臓を小さくする効果」がピモベンダンの有効性である。
という報告でした。心臓が病気の進行に伴って大きくなることで、だんだん心臓が大きくなります。
大きくなった心臓が、肺や気管支を圧迫することで、咳が出たり、肺に水が溜まったりします。
ピモベンダンの作用により、心臓の収縮力が上がると、心臓が少し小さくなります。
小さくなった心臓は、いままでよりも無理をしないで全身に血液を送ることができます。
その分、心臓の機能が長く維持できる。というわけです。
もちろん、薬の効果には左右差があるので、
同じ薬を飲んでも、「しっかりと小さくなる子」「そうでもない子」がいます。
当然、しっかりと小さくなる子の方が、心不全になりにくいということが予想されています。
ただし、薬を飲む前から、「小さくなりそうか?」
を予測することは現時点では難しいようです。
今後の研究次第ではっきりしてくる可能性もあるので、今後の研究を待ちたいと思います。
しかし、どんな子でも、心臓病であれば薬を飲むと寿命が延びるか?
という質問の答えは「No」です。
どんなにいい薬もしっかりと診察させていただいて、必要な子にあげないと、
ただの毒になってしまいます。
心臓病の薬や治療は、必ず獣医師に相談してくださいね。
福岡にいく途中の飛行機できれいな富士山をみました。

普段は通路側に座ることが多いのですが、
今回は、窓側をとっていただいていたので、きれいに見ることができました。
上からみる富士山もやっぱり雄大ですね。
















