こんにちは、獣医師のあさぬまです。
最近雨ばかりですね☔
雨ばかりだと、お散歩に行けない子もいると思います。
ストレス発散ができず、無駄吠えや、誤食などの問題行動が増える可能性があるので、
室内で遊ぶ時間を増やすなど、対策をしてみてくださいね!
先日、オンラインで開催された臨床病理のセミナーに参加してきました✨
毎回、実際の症例のデータをみんなで確認しながら、
各データをどう読むべきか?
について、ディスカッションし、それに対し、臨床病理の専門医の先生の意見を聞く。
という形をとっています。
今回の症例で最も重要だったポイントは「血管内皮細胞障害」でした。
以下、少し難しい話になります…。
通常、貧血が起こると、体は赤血球が足りないため、新しく血液を作ろうと反応します。
成熟した大人の赤血球は表面積を増やし酸素運搬能力を上げるため、また毛細血管などの微小な血管に入り込むため、
通常の細胞が持っているはずの”核”をもちません。
しかし、赤血球も細胞なので、元々は”核”があります。成熟(大人になる)の過程で”核”が消失します。
赤血球が成熟する場所は骨髄で、その後血液中に放出されます。
激しい貧血の場合、急いで新しい赤血球が欲しいため、
身体は、成熟しきっていない”核”のある赤血球まで、血液中に放出されるようになります。
つまり、貧血の著しい症例で、”核”のある有核赤血球の出現は異常ではない可能性があります。
しかし、稀に貧血もないのに有核赤血球が認められるケースがあります。
腫瘍(白血病などの血液腫瘍)、鉛中毒などが一般的ですが、
あまり知られていないが、見落とせないケースが、今回のテーマの「血管内皮細胞障害」です。
血管の壁が著しく傷ついてしまった場合にも有核赤血球が出現することがあります。
DIC(多臓器不全)や、強い炎症(敗血症、ショック状態など)で生じることが一般的ですが、
より聞きなじみのある病気でこれが起こる場合もあります。
それが、熱中症です🥵
血管内皮細胞障害が生じた場合は多臓器不全に移行するケースも多く、
かなり危険な状態であり、死亡率が高いと判断されます。
こういった所見が認められた場合、強く入院をおすすめする可能性があります!
熱中症は予防や対策が可能な病気です。
100%防ぐことは難しいかもしれないですが、
今後ますます暑さが厳しくなるかもしれないですが、注意していただければと思います!