臨床病理セミナー
2021年09月24日
こんにちは、獣医師のあさぬまです。
先日、小笠原先生の臨床病理セミナーを受講しました。
臨床病理とは、細胞や血液検査データをどんな風に解釈するべきか?
得られた検査データから、どのようなことが体で起こっているのかときちんと解釈するものです。
今回のテーマは「リンパ組織の評価」です。
リンパ節とは、体の中に張り巡らされているリンパの流れが一度集まる場所だと思ってください。
リンパは、脂肪分の吸収や免疫の機能に重要な働きを持っています。
リンパ節自体は身体にたくさんありますが、その中でも触診で簡単に触ることができるリンパ節に
体表リンパ節があります。文字通り体の表面に存在するリンパ節で、下顎、浅頸、腋窩、鼠経、膝窩に存在します。
リンパ節が腫れた場合、細胞診検査を行うことが多いですが、そのリンパ節の細胞をどのように評価するべきか?
を中心に学びました。
大まかにリンパ節が腫れる病気として、炎症か腫瘍が挙げられます。
その中でも炎症反応は、炎症の原因によって、
化膿性炎症(細菌感染など)、好酸球性炎症(寄生虫やアレルギーなど)、肉芽腫性炎症(FIPなど)
があります。それぞれに、好中球、好酸球、肥満細胞、組織球(マクロファージ)などが多数認められます。
一方、腫瘍には、
リンパ腫などのリンパを発生源とする腫瘍、転移性腫瘍などリンパ以外を発生源とする腫瘍があります。
いずれも判断に困る場合には、専門の病理検査医に診断をゆだねることも多いです。
リンパ節が腫れることは多いですが、必要最低限の負担で、最大限の情報を得られるように、
日々の診療の中で心掛けたいと思います。
体表リンパ節の腫れは、動物の身体を触った際に、「こぶ」状に触れることがあります。
なにか気になることがあれば、スタッフまでお尋ねください。