救急セミナー
2024年12月20日
こんにちは、獣医師の佐久間です。
先日、院内で救急のセミナーをしていただきました。今回のテーマは尿腹です。
尿腹とはその名の通り、尿が腹腔内に漏れ出した状態であり腎臓・尿管・膀胱・尿道の破綻により発生します。漏出した尿によって腹膜炎が起き、再吸収さた尿は腎後性腎不全・高カリウム血症を起こします。この時、少量の尿が漏出しただけでも嘔吐などの症状が出ると言われています。高カリウムの状態は非常に危険であり、いち早く対処することが重要です。
尿腹の診断基準は以下の通りです。
・腹水中のクレアチニンが末梢血の2倍以上
・腹水中のカリウムが末梢血の1.4倍以上
尿腹は外傷や尿道閉塞などが原因になることが多く、それらの疾患の場合には鑑別に入れることが大事だと感じました。1mの高さから落下して膀胱が破裂した症例もいるので注意が必要です。
治療に関して、破裂の程度によっては尿道カテーテルを数日間設置することによって自然修復を期待することもあります。