セミナー参加報告

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臨床病理セミナー

2021年11月04日

こんにちは!獣医師の市川です!

先日小笠原先生の臨床病理セミナーに参加して参りました。

今回のセミナーテーマは「多発性骨髄腫」でした。

多発性骨髄腫は通常免疫に関わっている形質細胞のがんです。

形質細胞は通常抗体を産生することにより、体内に侵入する細菌やウイルスから体を守る働きがあります。しかし、がん化して骨髄腫細胞に変異することにより抗体としての働きを持たないMタンパクを骨髄で作り続けることにより、免疫能力の低下やタンパク質が必要以上に血液に産生されることで血液をドロドロにしたりします(=過粘稠度症候群とよばれ、腎臓に障害を及ぼしたり、血流を悪くして頭痛や失明の原因になったりします)

その他、破骨細胞と呼ばれる細胞を活性化させることで骨を溶かし、骨にパンチ状の穴を開けたり、それによって血液中のカルシウム濃度の上昇をきたします。

今回のセミナーではこれらの症状による診断に加え、血清蛋白分画の正しい読み取り方や血液中の塗抹標本を読み解く上での注意事項に関して学びました。

通常血液中にはアルブミンと呼ばれるタンパクがその多くを占めていますが、多発性骨髄腫は先に述べた理由のため血液中にMタンパクと呼ばれるタンパク質が異常に増えるため、血清中のタンパク質の種類を分類することでその診断に役立てることができます。

血清蛋白分画において、モノクローナル、ポリクローナル、バイクローナル、オリゴクローナルなど出てくるタンパク質の種類によって分類がなされますが、今回アルブミンを基準にこれらの分類を行う正しい知識を教えていただきました。

また血液塗抹上では形質細胞由来の他の腫瘍との鑑別や活性化する破骨細胞が認められる特徴から骨肉腫との鑑別が必要であることなども合わせて学びました。

セミナー後は症例検討会も行い非常に充実したセミナーでした。

今後は得られたデータを正しく読み取れるよう一つ一つの項目を丁寧に読み解いていきたいと思います。

小動物CT研究会セミナー

2021年11月01日

こんばんは、獣医師の井上です🐦

先日小動物CT研究会セミナーにzoom 上にて参加しました。

今回は前回の続きである肺のCT part2を受講しました。講義の中でも特に印象に残ったのが間質性肺炎という病気です。肺は酸素と二酸化炭素を交換する場所として人や動物にとって欠かせない臓器の一つです。その肺が肺炎になってしまうと、肺の一部、もしくは広い範囲において機能が損なわれてしまいます。症状としては急になる子もいれば、徐々に苦しそうになっていく子もいます。

こんな肺炎の中でも、肺の中の肺胞という場所を包む壁の間質という場所に炎症が起こった時に間質性肺炎と呼びます。簡単に言うと、この病気から肺が膨らみにくくなる、もしくは膨らまなくなってしまう怖い病気です。

こういった命の危険がある病気をCT検査は早く見つけてくれて手遅れにさせないようにできることから、猫ちゃんが苦しそうにしていたら、レントゲンに加えてCTを撮影し診断をつけるための補助に使うのも一つの方法として凄くいいかなと思います。

見つけても完治できるかどうかはその子の病態によるので、しっかりと診断をつけるために、CTは麻酔のリスクもあるためご相談になるかなと思いますが一度試してみるのもいいんではないでしょうか。

CTについても何かご不明なことや、何かおきづきになられたことがある際はお気軽にご相談いただければと思います。