セミナー参加報告

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皮膚科セミナー

2024年12月20日

こんにちは、獣医師の佐久間です。

 

先日、今回で最後となる皮膚科セミナーに参加してきました。今回のテーマは“皮膚病を治す”でした。外耳炎の治療・管理について学びました。

 

外耳炎は耳鼻科ではないのか?と疑問に思われますが、獣医領域では皮膚科になります。外耳にも皮膚と同じような湿疹が現れ、皮膚炎と同じような病態整理をします。外耳炎の原因として3つ挙げられます。

・皮膚炎(脂漏性皮膚炎、アトピー、アレルギー)

・感染(細菌、寄生虫)

・外的(医原性、自傷)

3つの鑑別として、耳漏(膿や血液など)がある場合は感染、ムラのある赤みがある場合は外的が疑わしくなります。皮膚炎は脂漏(黄色い耳垢)のある皮膚炎は脂漏性皮膚炎、ない場合はアトピー、アレルギーが疑われます。

 

基本的に外耳炎は適切な対症療法が必要であり、“異物(耳垢)の除去“と“炎症の沈静“を行います。耳垢を溶かす作用のあるの洗浄液と点耳薬(ステロイド)を用いて行います。

また、よく耳の毛を抜いて欲しいと言われることがありますが、毛を抜くことによって刺激となり良くないと言われています。

 

 

全6回の皮膚科セミナーを通して皮膚科の基礎・考え方を学ぶことができました。今後の診察でも活かせるよう精進していきたいと思います!

救急セミナー

2024年12月20日

こんにちは、獣医師の佐久間です。

 

先日、院内で救急のセミナーをしていただきました。今回のテーマは尿腹です。

尿腹とはその名の通り、尿が腹腔内に漏れ出した状態であり腎臓・尿管・膀胱・尿道の破綻により発生します。漏出した尿によって腹膜炎が起き、再吸収さた尿は腎後性腎不全・高カリウム血症を起こします。この時、少量の尿が漏出しただけでも嘔吐などの症状が出ると言われています。高カリウムの状態は非常に危険であり、いち早く対処することが重要です。

 

尿腹の診断基準は以下の通りです。

・腹水中のクレアチニンが末梢血の2倍以上

・腹水中のカリウムが末梢血の1.4倍以上

 

尿腹は外傷や尿道閉塞などが原因になることが多く、それらの疾患の場合には鑑別に入れることが大事だと感じました。1mの高さから落下して膀胱が破裂した症例もいるので注意が必要です。

治療に関して、破裂の程度によっては尿道カテーテルを数日間設置することによって自然修復を期待することもあります。

リハビリセミナー

2024年12月15日

こんにちは!看護スタッフの榎澤です

先日リハビリの院内セミナーを受けました。

今回はタンパク質、BCAAについて学びました。

 

BCAAは3つの必須アミノ酸を指し、バリン、ロイシン、イソロイシンのことを言います。

 

必須アミノ酸はタンパク質筋肉中のタンパク質分解を抑えたり、筋肉の合成にも関わり、運動時にはエネルギー源として利用されます。

 

プロテイン(タンパク質)の過剰摂取は腎不全のリスク促進させます。

 

①西洋食(赤身肉、加工肉、菓子)

②健康食(白身肉、魚、大豆)

③高血圧療法食(野菜、果実)

この中で後の食事が一番腎不全リスクが上がるでしょうか?

 

 

答えは①西洋食です。特に赤身肉は腎不全のリスクが一番高く他の②③に変えるだけで約50%減少します!

 

 

また補えきれない栄養素はサプリメントでも補充することがあります。

エビデンスの高いサプリメントにHMBがあり、ロイシンが筋肉内で代謝されたものです。

 

食事からHMBを摂取する場合牛肉2.6〜4.0kgの摂取が1日に必要となりますので毎日の摂取はかなり難しいかと思います。

 

サプリメントであれば手軽に摂取できるのも利点です💡

錠剤タイプと粉末タイプが市販でも販売されているようなのでチェックしてみてください!

内科セミナー

2024年12月14日

こんにちは、獣医師の今井です。

 

先日、内科セミナーを受講しました。今回のテーマは犬の血小板減少症でした。

 

一次止血に関与する血小板は1μlの血液中に通常20万〜50万存在し、5万を切ると出血傾向が見られます。キャバリアやチワワ、ノーフォークテリアは先天的に血小板のサイズが大きく数が少ない傾向にありますが、量は維持されているため治療の必要はありません。

 

血小板減少症の原因としては感染症や腫瘍、免疫介在性疾患(以下IMTP)、アーチファクトが挙げられます。IMTPではより重度の減少がみられます。IMTPは幅広い年齢の雌に発症することが多く、歯肉や皮膚における出血や血便などの兆候を示します。予後は良好ですが30%程の症例で再発が見られます。

 

血小板の減少を認めた時は
・血小板の他の血球系に異常はないか?
・出血によるものではないか?
・産生の異常or消費の亢進、いずれかを起こす病因が存在するか?
などを念頭にアプローチする必要があります。

 

今後、血小板減少を認める動物が来院した際に鑑別を立てられるよう、知識を整理していきたいと思います。

第121回日本循環器学会 in 大阪!

2024年12月14日

こんにちは、獣医師のあさぬまです。

早いものでもうすぐ2024年も終わりですね。

今年は年男でしたが、龍のように飛躍できたか悩む一年でした💦

ですが、終わりよければすべてよし!皆さんもやり残したことはないですか?

2024年のことは年内に丸っとおいてこられるように、私もあと数週間より一層頑張ります!!

 

そんな年の瀬ですが、大阪で行われた獣医循環器学会に参加してきました。

今回はコロナ禍以降、初の地方開催✨

全国から多くの先生方が大阪に訪れました。

 

今回は久しぶりに学会で発表をさせていただきました。

また初めて、座長の大役をいただき、両方とも無事に終えることができました。

ひとえに、ご指導いただいた先生や、快く学会に送り出してくれるスタッフあってこそですね!

 

循環器学会はほかの学会のように毎回テーマが決まっているわけではないので、さまざまな情報が集まります。

しかしそんな今回の学会でも、目玉だったトピックは『僧帽弁閉鎖不全症』です。

 

『僧帽弁閉鎖不全症』は、小型の高齢犬で非常に一般的な病気で、

このブログを読んでくださっている方の中にも、愛犬が『僧帽弁閉鎖不全症』と診断され、治療を受けられているかたもいると思います。

報告にもよりますが、小型犬の約2頭に1頭、チワワでは、約5頭に4頭が診断される病気です。

一般的には内科治療を選択されることが多く、ステージ(病期)により治療法が国際的なガイドラインで決まっています。

ただし、もちろん病状は十人十色ですので、決まった治療で安定している子もいれば、

標準的な治療では進行を食い止められない子がいることも事実です。

『僧帽弁閉鎖不全症』は僧帽弁という弁が粘液水腫様に変性することで生じることが一般的です。

『粘液水腫様』???

と思われるかもしれませんが、簡単にいうと、弁(やその周囲組織)がボコボコ、水膨れのように変化してしまう。

ということです。

弁の形態的(形そのもの)な異常による病気なので、根本的な治療は内科療法ではなく、外科手術です。

 

日本では幸い、複数の素晴らしい施設が、僧帽弁閉鎖不全症に対する手術を実施してくれています。

これは世界的にみても非常に幸運なことで、ここまで精度の高い手術ができる国は日本以外にほとんど存在しません。

ただし、各施設である程度独自の方法で手術をしているので、毎回学会でも、どの手術方法がより優れているのか、

議論が重ねられています。

今回の学会では、そんな僧帽弁閉鎖不全症の手術を第一線で行っている先生方が一堂に会して、

お互いの方法のいいとこどりをしようとする試みが持たれました。そんな試みをオープンな場で行い、

広く知ることができたことは、内科治療しかできない一次診療の獣医師にとっても非常に有意義なものとなりました。

「自分が行わないことは知らない」という状態では、多様化する飼い主様のニーズにうまく答えることができません。

こういった内容を知ることで、より適した患者様を、より適したタイミングでご紹介ができるようになります!!

 

もう一つ、新しい情報として、

今、『僧帽弁閉鎖不全症』で使用されることが最も多い薬剤についてです。

今まで錠剤しかなかったですが、なんと液剤(シロップ剤)が発売されるようです。

前々から話はあったのですが、開発途中とのことで、限られた先生にしか知らされていなかった情報でした。

それがいよいよ来年に発売になるとのことでした。

投薬が難しいわんちゃんの手助けになればいいですね✨

特別に発売前にサンプルをいただけるかもしれない!

というお話もいただきましたので、またご紹介できる機会があれば、ぜひ知っていただければと思います。

 

会場の近くの御堂筋はきれいにライトアップされていました🎄

印西の千葉ニュータウン中央駅の駅前もきれいにライトアップされていますよね🌟

時には寒いなか出歩いてみるのもいいな。と思いました。

救急セミナー

2024年12月09日

こんにちは、獣医師の佐久間です。

 

先日、オンラインで救急のセミナーを受けました。今回のテーマは中枢神経でした。

 

痙攣発作を起こす原因として脳に問題がある構造性てんかん、特発性てんかん、脳以外に問題がある反応性発作があります。救急で来院した場合は、まず反応性発作の鑑別を行います。反応性発作は中毒、低血糖、電解質異常などがあります。

 

発作が起きている動物に対しての治療の最大の目的は、その発作を止めて脳の不可逆的な損傷を防ぐことにあります。また、治療は発作を止める、防ぐ以外に発作の止まらない動物に対して麻酔薬を使って寝かせることもあります。

 

痙攣発作が持続してしまうと過剰運動のような状態となり、体温の上昇から臓器障害・脳障害に陥る場合があります。5分以上止まらない痙攣(重積発作)はとても危険な状態といえます。

今回のセミナーで危険な発作、まずは何を考えればいいのかよく考え実践できたらと感じました。

口腔外科セミナー

2024年12月06日


こんばんは、Dr.スゴウです。

今月も院内で口腔外科のセミナーがありました。

今回は歯の保存治療について学びました。

歯が無くなる原因は歯周病細菌による歯周炎や歯周病がほとんどです。

保存療法とは歯周炎や歯周病がある時に抜歯をせずに歯を残して維持する治療法です。

歯周病で歯肉や歯を支える歯槽骨が破壊されている状態の歯に対して歯垢や歯石を取ったり歯を削ったり、過剰な歯肉を切除して歯のケアをしやすくすることで歯周炎や歯周病の進行を止め、それ以上悪くならないようにします。

ただ、処置をしても自宅での歯のケアをしないと歯周病は進行します。

1番大切なのは自宅での歯磨きを継続して行うことです。

歯磨きに関しては少しずつ口を触ることに慣れてもらい、徐々に全体を磨けるようにしていくことが肝心です。

いきなり歯ブラシを使うのではなく指で磨けたらガーゼなどを使い、それもクリアしたら歯ブラシで行うのがオススメです。

 

眼科セミナー

2024年12月01日

こんにちは、獣医師の佐久間です。

 

先日、眼科セミナーに参加しました。今回のテーマは角膜潰瘍でした。

 

角膜は角膜上皮、実質、デスメ膜、内皮の順に表層から構成されており、角膜潰瘍はその深さによって分類できます。上皮に限局したもの、実質にまで及ぶもの、デスメ膜に及ぶあるいは穿孔しているのもに分類されます。

 

これらを診断するための一般的な検査として、フルレロセイン染色があり、角膜実質を染めます。この染まり方で深さを推測します。

 

犬の角膜潰瘍は原因別に大きく3つに分類され、外傷性角膜潰瘍、露出性角膜潰瘍、上皮性角膜潰瘍(ボクサー潰瘍)です。露出性角膜潰瘍は短頭種で多く、眼窩が浅い、眼瞼裂が長いなどの理由で眼瞼閉鎖不全となることによるもの。ボクサー潰瘍は角膜上皮と実質の接着異常が原因で起こり、簡単に上皮が剥がれることによるものです。

 

治療は穿孔している場合を除き、血管新生を促し上皮化させることが原則であり、自然修復を促すことになります。

 

これらの角膜潰瘍は眼科疾患の中でも一般的なものであり日常でよく遭遇する疾患です。ご家族で気になる症状、異常など見られた場合は相談いただければと思います!

皮膚科セミナー

2024年11月26日

こんにちは、獣医師の今井です。

先日皮膚科セミナーを受講しました。今回のテーマは“こころと皮膚”ということで、精神面が関与する皮膚病変について学びました。

細菌やカビによる感染症、ノミや食物によるアレルギー性皮膚炎、脂漏やシワなどの体質による皮膚トラブルなど…動物の皮膚病には様々な原因がありますが、精神的にストレスを抱えた場合にも脱毛や掻破痕(皮膚の表面が抉れた状態)が見られることがあります。

・膀胱炎や脊椎の疾患が隠れていて、その痛みからくるストレスを緩和しようと、身体の一部を掻いたり舐めたりする

・脳の病変やホルモンの関与

・暇な時、構ってほしい時、環境の変化でストレスを感じている時に舐めたり噛んだりする行動が癖づいている

このように、一括りに「ストレスによる自傷行為の結果、脱毛箇所や傷が出来ているのではないか?」と思ってもその根本にある原因は様々です。診察室で患部を診させていただくだけでなく、普段の行動をよく知るご家族からお話を聞かせていただければ大変ありがたいです!
気になる症状がみられたらお気軽にご相談ください🐶🐱

 

 

画像診断セミナー

2024年11月24日

こんにちは。獣医師の山﨑です。画像診断セミナーで今回は胃について学びました。

 

胃は噴門部、胃体部、幽門部でそれぞれ疑うべき病気が異なります。噴門部では平滑筋腫、肉腫、胃体部では胃炎や腺癌、リンパ腫、幽門部ではGISTら腺腫、好酸球性硬化性線維増殖症などになります。

超音波検査では層構造を意識し、それぞれの特徴を知ることで変化を見つけることができます。噴門部では筋層の変化、胃体部、幽門部では粘膜層の変化、リンパ節、内部構造を中心に考えていくことでどのような病気かを推定し治療方針を決めていきます。