こんにちは、獣医師のあさぬまです。
早いものでもうすぐ7月も終わりですね。
1年も折り返しを過ぎ、しっかりと目標をもって1日1日を過ごす大切さを再認識しています💦
先日、大阪で行われた外科のセミナーに参加してきました。
今回のテーマは、「脊椎、脊髄の外科」です。
脊椎、脊髄の外科のうち、今回は特に神経外科について学んできました。
様々な病気がある神経外科ですが、その中でも最も有名なものは、椎間板ヘルニアでしょうか?
椎間板ヘルニアには、いくつかタイプがあるのですが、代表的なものは、ミニチュアダックスなどに良く発生するものです。
そもそも背骨のことを医学的には「椎体」と言います。
椎体は、頸、胸、腰、それ以降(仙椎、尾椎)が存在しますが、その中を脊髄神経という太い神経が通っています。
その脊髄神経から、前足、後ろ足を動かす神経や、胸や内臓に影響を与える神経が発生しています。
脳からの指令を全身に伝え、また全身からの信号を脳まで送り届けるとても大切な道路の役割をしています。
その周りを保護している椎体の間にあるクッションが椎間板です。
本来柔らかい椎間板ですが、ミニチュアダックスに代表される犬種では、硬くなってしまうため、
椎体の激しい動きの中で、中身が飛び出してしまうことがあります。これが椎間板ヘルニアです。
一般的には、急性に痛みが生じたり、歩けなくなってしまう病気です。
重症度は分類によって様々ですが、
痛みのみ、軽度の姿勢の乱れのみ、運動失調(歩ける、歩けない)、麻痺、痛み知覚の消失
でグレード分けされます。
運動失調が認められないレベルでは、内科治療に反応することもありますが、
特に歩けないレベルの運動失調を抱える場合には、手術の方が、より早く、より確実に、歩けるようになります。
手術では、骨の一部を削って、飛び出した椎間板の中身を取り出します。
これにより、邪魔されていた脊髄神経が回復し、再度歩くことができます✨
一般的には、手術の成功率は>85%とされていますが、痛みを全く感じられなくなってしまった子では、
約半分しか回復しない。とされています。
昔は、なるべく早く手術をしなければいけない。とされていましたが、
最近は、少し時間が経っても同じくらいの成功率とされています。
しかしそれでも、何週間も経ってしまうと、回復が遅い可能性があるため、手術の方法をきちんと学び、
適切に手術が行えるように常に準備する必要があります。
今回のセミナーでは、一般的な椎間板ヘルニアの手術方法を中心に、他の様々な疾患の特徴や、手術方法を学びました。
もちろんすべての手術がすぐに行えるわけではないですが、
緻密な神経外科のことをしっかり学び、なるべく多くの動物に歩ける喜びを届けられるように、
研鑽をつみたいと思います!
当院では、リハビリテーションにも力を入れていますので、
術後のケアだけでなく、椎間板ヘルニアなどの神経疾患やほかの整形外科疾患を患ったことで、
生活の質が少し落ちてしまっている場合は、スタッフまでお気軽にご相談ください😊