整形セミナー 〜骨折〜
2023年09月20日
こんにちは。獣医師の江木です。
先日骨折についての整形外科セミナーを受講しました。
「骨折を疑う動物の診断はレントゲン!治療は急いで手術!」のイメージがあるかもしれませんが、骨折には色々なタイプがあるため、正確に評価し治療方針をしっかりと考えることが大切です。
以下の流れで骨折を評価します。
①全身状態の評価
:外傷により骨や内臓が傷害されたり、開放骨折(皮膚から骨がとびだした骨折)の場合はまず状態の安定化が必要 骨を治す前に命を救う!
②骨折を診断(レントゲンが多い)
:骨折タイプを分類 その他、軟部組織→関節面→若齢動物は成長板→筋肉・腱・靭帯付着部も確認
③骨折評価
:生物学的要因(若齢/高齢・犬種など)と力学的要因(骨折タイプから考えられる整復の難易度)を評価
④治療方針決定
:非観血的(外固定・徒手整復など)、観血的(内固定・創外固定など)かを決定
⑤経過評価
また、骨折手術の際にはHalsyedの外科原則を守り手術することが重要です。
具体的には、
①骨折の解剖学的整復
:骨と関節の位置(アラインメント)をまっすぐに
②強固な固定
③丁寧に手術する
:血行阻害させない・軟部組織損傷を最低限に
④術後早期からリハビリ開始
があります。
今回のセミナーは実際の診察の流れに沿った内容が多くすぐに実践できることが沢山あると感じました。
骨折症例をみる時はしっかりとこれらのことを思い出して、最善の治療方針をご提案していきたいと思います。