日本獣医救急集中治療学会に参加しました
2023年08月20日
こんにちは、獣医師のあさぬまです。
気づけば8月も後半です💦夏休みを満喫した方もいらっしゃるかもしれませんね。
下半期に向かって英気を養っていけるように頑張りましょう!
さて、先日、東京の両国で開催された、日本獣医救急集中治療学会(JaVECCS)の年次大会に参加してきました。
今回のテーマは「体感」。様々な実習が組み込まれた年次大会でとても盛り上がったようです。
残念ながら、実習形式のセミナーに参加することはできなかったですが、今回の内容の中で最も気になったものは、
「消化管穿孔に対する治療戦略」です。
消化管穿孔とは、胃や腸にできた腫瘍やそれらに詰まった異物により、胃腸に穴が開いてしまい、
内容物がおなかの中に漏れ出す病気のことです。
当然、大量の菌がおなかに広がってしまうため、重度の感染症を起こします。
多くの場合で手術が必要ですが、感染を起こしている状態と、起こしていな状態では、術中、術後の死亡率に大きな開きがあります。
特に胃腸の穿孔で敗血症(感染と体調不良を生じている状態)を起こしている場合は、
周術期の死亡率は30%以上になる可能性があり、非常に危険な状態です。
一刻も早く手術が必要ですが、意識がない状態や、血圧の低い状態での手術はより死亡率が高く、
目標として、
①一刻も早く血圧をあげたり、抗菌薬を投与する
②血圧が安定したら、やるべき早く手術に踏み切る
③どうしても手術ができないほど状態が悪い場合は、ドレナージ(感染源をなるべく取り除く)をする
が最も効果的なようです。
時には手術を1度で行うのではなく、簡単な手術で、ドレナージや安定化を図り
安定後に再手術で治す!
という二段構えの手術計画が必要になります。
敗血症は刻一刻と状況が変化するため、内科的にも、外科的にも治療が難しい疾患の一つです。
その分、治療期間も長くなる傾向にあります。
ですが、救うことのできる命をなるべくつなぎとめるため、一つ一つ丁寧に、かつ迅速に対応していく必要があることを
改めて考えさせられます…。
1分1秒の治療の遅れが、命を左右することもあります。
体調の変化を感じたら、病院に早めにいらしてくださいね✨