こんにちは、獣医師のあさぬまです。
今年はまだ雪が降りませんね…。
北海道にいた期間が長かったせいか、雪が降っているのを見ると、冬が始まった気がします❄
雪が降ったら降ったで、除雪や運転が面倒なので、降ってほしいやら、欲しくないやら複雑な気分ですね💦
さて、先日整形外科団体のVOAが主催するアドバンスセミナーにオンラインで参加してきました。
今回のテーマは「整形外科手術にまつわる感染症」でした。
実際の話は、整形外科に限らず、手術時の抗菌薬の適正使用の話や、一般的な感染症の話でした。
感染症…と聞くと、多くの方が、今世界を揺るがす「新型コロナウイルス感染症」や「狂犬病」のような、
感染する病気をイメージすると思います。
しかし、実際手術時や普段の診察の中で問題になるような感染症は、
本来動物の身体の中に常在する細菌が原因となる病気。です。
つまり、どこか変わった場所に出かけるでもなく、他の動物と触れ合うわけでもなく、同居の動物が病気をしているわけでもなく、
感染症にかかります。
裏を返すと、どんな細菌やウイルスが感染しているかわからない感染症。は実際は多くなく、
感染する臓器ごとにかかりやすい細菌が存在します。
たとえば、皮膚であればブドウ球菌、膀胱や肛門周囲であれば大腸菌、耳の中や湿った場所では緑膿菌。
などのように敵がある程度予想できることが多いです。
従って、どのような抗菌薬を、どのくらいの期間飲めばいいか?もある程度決まっています。
しかし、動物は毛があり、傷を舐めることがあるため、人間ほど清潔に保つことが難しいです。
そのため、今まではついつい心配なので、抗菌薬を処方してしまうことが獣医療の世界では多くありました。
昨今、耐性菌が問題になるにつれ、
動物医療でも抗菌薬を極力減らす工夫がとられています。
たとえば、避妊去勢手術後に抗菌薬を投与しない。消毒で対応できる部分は消毒にする。などですね。
当院でもまだまだ抗菌薬使用に関しては世界基準ではないですが、
将来的に人と動物が安全に共存できるように、今後抗菌薬の投与に関して見直していきたいと思っています。
また、セミナーでは、
多くの手術部位の感染症は、動物病院ではなく、飼い主への聞き取り調査の結果判明している。といっていました。
つまり、手術部位に生じた感染症は、獣医師や動物看護師の治療で治っているわけではなく、
動物の自己治癒力や飼い主様の看護で治っているわけです。
手術部位に生じた問題を素早く飼い主様から教えてもらうことで、獣医師は安心して
抗菌薬を処方しない!という選択肢をとることができます。
ぜひ、気になることがあればいつでも教えていただければと思います!